今回は「なんか異世界で無双する漫画?」と思われそうなタイトルですが、本気の短歌漫画
「呪文よ世界を覆せ」を紹介させていただきます。
彼女も家も何もかも失った売れない芸人が、短歌と出会い奇跡の成長を遂げる!どん底から這い上がる哀愁、そんなどうにもならない気持ちを31文字に凝縮した短歌の凄さを体感してほしい。心に突き刺さる、魂の叫びをぜひ感じてみてください!
作品概要『呪文よ世界を覆せ』
タイトル: 呪文よ世界を覆せ
作者: ニコ・ニコルソン
出版社 : 講談社
相方だけがブレイクした売れないお笑い芸人・虎屋戸太郎は、彼女と住処をいっぺんに失ったどん底の日に、人懐っこく話しかけてくる不思議な女性・多悠多に出会う。彼女と、彼女が愛してやまない「短歌」に触れたとき、戸太郎の運命は変わり始める! 31文字の“呪文”が世界を変える、短歌コメディー!
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読後感の独り言
『呪文よ世界を覆せ』1巻を開いた瞬間、目次が全部短歌で構成されていることに驚きました。これ、誰か有名な歌人の引用ではなく、それぞれの話を表すオリジナルの短歌なんです。その時点で心を奪われました。「これは絶対に面白い漫画だ」と直感で感じました。そして、あとがきの前には、本編で取り上げられた短歌を紹介するページがあり、短歌に対する深い敬意がひしひしと伝わってきます。
ここで話したいのは、始まりと終わりだけではありません。肝心なのは本編のストーリーです。主人公の虎谷戸太郎は、笑いを届けたいという一心で芸人になったものの、彼女も住処も失い、どん底の生活を送っています。そんな彼が多悠多という不思議な女性に出会い、彼女が愛してやまない「短歌」に触れることで、彼の運命は劇的に変わり始めるのです。
戸太郎が短歌に出会うきっかけは、ただ多悠多に気に入られたいというシンプルなもの。しかし、偶然手に取った歌集のシーンが圧巻です!人の運命が変わる瞬間を、これほど見事に描ける漫画は他にないでしょう。たった31文字なのに、人の心を掴んで離さない短歌の力、まさに「これって私のことだ現象」ですよ。
戸太郎は憎めないキャラクターで、泣いている人を見たら自分も悲しくなるような、心の温かい人物です。そんな彼が短歌に心を揺さぶられ、成長していく姿には感動せずにはいられません。彼の詠む短歌に共感し、心に深く刺さります。それこそ、短歌に出会った戸太郎のように、読者も彼の短歌に引き込まれることでしょう。
特に、第4話で戸太郎が父親について詠んだ歌には心を動かされました。あまりにも感動して、危うく泣きかけました…いや、正直に言うと泣きました。
短歌ってこんなに面白いんだ!という新しい発見を、読者に届けてくれるこの漫画。『呪文よ世界を覆せ』は、短歌の魅力と人間ドラマが融合した感動作です。どん底から這い上がる戸太郎の姿に勇気をもらい、短歌の持つ力強さを感じることができるこの作品を、ぜひ手に取ってみてください!